
FX専業トレーダーのけんパパです
FXのトレードにおいて水平ラインを使ったテクニカル分析はかなり強力な武器になります。
でもチャートに水平ラインを引く際に、
「どこに引いたらいいかわからない」
「引いたはいいけど全然機能しない」
「ラインの見方がわからない」
何て言う悩みはありませんか?
今回はそんな方のために水平ラインの正しい引き方や投資家に意識されやすいライン、そしてラインを使ってどのように相場を分析するかということを詳しく解説していきます。
ということで早速行ってみましょう!
- 水平ラインの引き方がわからない人
- 投資家に意識されやすい水平ラインを知りたい人
- 水平ラインを使った相場分析の方法が知りたい人
- インジケーターに頼ったテクニカル分析をしている人
- 投資初心者の人
目次
水平ラインとは?
まずそもそも水平ラインとは何なのか?
水平ラインはMT4などのチャート分析ソフトを使ってレート(価格)の節目に水平線を引き今後の値動きを予測するテクニカル分析になります。

正しく引いた水平ラインはトレーダーに意識され、それを元に値動きは形成されていきます。
つまり相場は水平ラインを基準に動いているといっても過言ではありません。
FXやその他のマーケットにおいて様々なテクニカル分析を使った手法がありますがその中でもチャート上に引いた水平ラインは最も重要かつ明確な指標になります。
水平ラインが重要な理由
水平ラインがなぜ重要なのか?
それは相場に参加しているトレーダーの損益分岐点になるからです。
まず相場というのは単純に考えて売り勢VS買い勢の構図になっています。

当然どちらかポジションが大きい方に相場は動きます。
つまり買い注文が多ければ上昇、売り注文が多ければ下降していきます。
そしてトレーダーの損益分岐点になるポイントは注文が多く重なる場所になり、そこを境に売り勢力と買い勢力が入れ替わることになります。
例えば下の図を見てみましょう。
赤丸でロングした人は通常ロスカットを青丸の安値の下あたりに入れておきますよね?

ですから青丸の安値の下には逆指値で損切の売り注文が多く設定されることになります。

ということはそこを割れば相場は買いの損切(売り注文)を巻き込み勢いよく下落する可能性があります。

それを知っている売り勢はその動きに乗っかるため、安値を割った場合に新規で売りの注文を重ねてくるので相場は更に勢いよく下落することになります。

その後、上記の様にブレイクでエントリーした売り勢が利確の買い注文をして値動きが一旦戻します。

ですが勢いよく下がったことにより相場は弱気になっています。
そこで、ブレイクに乗り遅れた、あるいは慎重派のトレーダーが戻ってきたら新規で売りエントリーしようと考えます。
するとレートが先ほどのラインに戻ってくると再び売り注文が入ってN字の様な形を形成しながら相場は下がります。

相場と言うのは基本的に上記の様な心理が働き、値動きが形成されていると思ってください。
ですから水平ラインというのは現在相場に参加しているトレーダーの損益分岐点を知るために非常に重要な指標となります。
トレーダーの損益分岐点を知ることで相場の原理原則に基づいた値動きの予測ができるようになります。
水平ラインが明確な指標になる理由
水平ラインが明確な指標になるのは多くの人に同じものが共有されやすいからです。
テクニカル分析では上記の考えが非常に重要になります。
例えば比較対象としてインジケーターで考えてみましょう。
今じゃチャートソフトにはデフォルトで様々なインジケーターが入っていますが代表的なもので移動平均線というものがあります。
移動平均線というのは一定期間の価格の平均値を計算したものをチャート上に折れ線グラフとして表示するものになります。

ざっくりとした相場の方向を把握したりサポートやレジスタンスとして売買のタイミングを計ったりするのによく使われていますね。
恐らくテクニカル分析を行っているトレーダーなら誰もが一度は表示させたことがあるインジケーターだと思います。
ですがこの移動平均線というテクニカル指標一つをとってもトレーダーによってかなり使い方が異なります。
例えばパラメータの数値なんかはよく議論されていますね?
人によって20期間が良い、とか25期間の方が機能する、とかトレーダーそれぞれで全然意見が変わってきます。
これだと多くの人に同じものが共有されづらくなってしまいますね?
一方水平ラインの場合は基本的に高値や安値に引くだけなのでトレーダーによって引き方の差異があまり出ません。
引き方の差異があまりないということは多くの人が同じ引き方を共有しやすいということになります。
ですから水平ラインは様々な種類や使い方の分かれるインジケーターなどとは違い、テクニカル分析において明確な指標となりやすいのです。
トレンドラインとの違い
FXやその他のマーケットにおいて「ライントレード」、という一つの括りで考えると水平ラインの他にもトレンドラインというものがあります。
トレンドラインというのは安値や高値を結んだ斜めのラインのことです。

相場を一定のゾーンに分けたりサポートやレジスタンスとして使う、という意味では水平ラインと使い方は似ているかもしれません。
ですがトレンドラインは水平ラインとは全く異なった性質のものになります。
何故ならトレンドラインは上述した損益分岐点でもないですし明確な指標ともなりえないからです。
その理由はトレンドラインは「斜め」に引くラインだからです。
例えば下の画像を見てください。

相場は上昇トレンドで安値と安値を結んだトレンドラインが引けたとします。
そこでトレンドラインの反発を理由に青丸の箇所で新規の買い注文が入ったとします。
ですがレートはすぐにトレンドラインを割ってしまいました。
ここで投資家はどのような行動を取るでしょうか。
もしかしたらトレンドラインを根拠にエントリーしていてリアルタイムでチャートを監視している人はトレンドライン割れを理由に決済するかもしれません。
ですが全体のポジションで考えればここで決済をする人は少なくなります。
その理由はトレンドライン割れを根拠にあらかじめ逆指値の注文を入れておくことが難しいからです。
何故かと言うとトレンドラインは斜めに引くので時間の経過とともにラインにあたるレートの位置が推移していきます。

ということはトレンドラインを根拠とした決済はリアルタイムで相場を監視していないと難しくなってきます。
それがトレンドラインが損益分岐点となりづらい理由です。
そして明確な指標となりづらいのも斜めに引くことが理由になります。
ラインを斜めに引くと小さなズレでも未来に向かって大きなズレとなってしまいます。
例えば今じゃFXができる証券会社はたくさんありますがその証券会社毎に多少のレートの差異があります。
水平ラインの場合はそういったレートの差異があっても横に一直線にラインを引くので多少の誤差でおさまります。

ですがトレンドラインの場合は少し引き方がズレると時間の経過と共にどんどんラインがレートから剥離してしまいます。

ですから例えば引き方において多くの人が共有している引き方があっても使っている証券会社が違えばラインが共有しづらくなるという可能性があります。
もちろん中にはトレンドラインを使った相場分析で利益を上げている人もいるので一概にトレンドラインが使えない、と言っているわけではありません。
ですがトレンドラインには上記の様なことがあることから水平ラインとは全く性質の異なったものであるということをまずは覚えて頂ければと思います。
ということで水平ラインの重要性がわかったところでいよいよ具体的なラインの引き方などを解説していきたいと思います。
水平ラインの引き方
水平ラインは基本的にチャート上の節目となるレートの高値と安値に引いていきます。
因みにどこを高値と安値として見ていいかわからない、と言う人は以下の記事を読んでみてください。
上記の記事を読めばダウ理論に基づく高値と安値がある程度明確になると思います。
チャートの左端から引く
水平ラインは必ずチャートの左側から引くようにします。
何故かと言うと現在の値動きというのは過去に起こした投資家の行動に影響を受けて形成されています。
どこで相場に参加してきたのか?あるいはどこでポジションを決済したのか?
過去の投資家のそういった行動が現在のレートを位置付けているということになります。
つまり過去から見て値動きに連続性があるのであれば現在のレートが今後の未来にも影響を与えるということになります。
ですから水平ラインを引く際はなるべく時間軸を遡ってチャートの左端から引くようにしましょう。
意識されやすいライン
水平ラインには意識されやすいラインがあります。
意識されやすければそれだけサポートやレジスタンスとして機能しやすくなります。
ですからここではトレーダーに意識されやすい重要な水平ラインをいくつか挙げておきます。
ラウンドナンバー(キリバン)

ラウンドナンバーというのはレートの節目となるキリのいい数字のことです。
例えばクロス円であれば、
110円、111円、112円…
ドルストレートなら
1.11、1.12、1.13…
といった具合で100pips単位を目安にチャートにラインを引いていきます。
ラウンドナンバーはそれ自体が単純に意識されやすくレートが止まりやすいポイントとなります。
直近の最高値や最安値

これは単一の時間軸で見た場合のチャートに表示された直近の最高値や最安値になります。
最高値や最安値はトレーダーにとって意識されやすく相場の節目になりやすいラインになります。
トレンドの転換が起きたポイント

トレンドの転換が起きたポイントは非常に意識されやすくなります。
特にレジサポの転換がなく、一度も売りや買いが入っていない場合はレートが止まりやすいポイントになります。
日、週、月単位の高値や安値

こちらはそれぞれの時間軸で考えた場合の高値や安値になります。
特にデイトレードの場合、前日の高値や安値はトレーダーにとってかなり意識されやすいポイントになります。
時間帯におけるマーケット毎の高値や安値

こちらは市場をアジア、ヨーロッパ、ニューヨークに分けた場合のそれぞれの時間帯における高値や安値になります。
特に全世界が注目するニューヨーク市場に出来た高値や安値はトレーダーにとって最も意識されやすいポイントになります。
以上がトレーダーにとって意識されやすいレートの節目になります。
水平ラインを引く際は上記の様なトレーダーに意識されやすいポイントにも注目しながら引いていくと効果的になります。
ヒゲの先端と終値、どっちに引くのが有効?
ここまで水平ラインの基本的な引き方を解説していきました。
ですがそもそも水平ラインを引くときにヒゲの先端に引くのかそれとも終値に引くのかで迷う方がいると思います。

果たしてどちらの方が機能するのでしょうか?
これについてはどちらも有効だと思います。
理由はヒゲの先端を重要視しているトレーダーも終値を重要視しているトレーダーもどちらも相当数いるのでその時の地合いによってどちらが意識されるかは変わってきます。
例えば、ローソク足を表示させているトレーダーはどちらも意識しますしバーチャートの場合は始値や終値、ラインチャートだと終値を重視しているトレーダーが多いと思います。
ですから一番はどちらも意識して相場に合わせて複合的に考えるのがいいと思います。
例えば複合的に考える場合、具体例として水平ラインをブレイクしたかどうかの判断には以下の様なパターンが考えれます。
ラインをブレイクしたかどうかの判断
ヒゲの先端をヒゲだけが上回った場合↓

終値を終値が上回った場合↓

ヒゲの先端も終値もどちらも上回った場合↓

ヒゲの先端を終値が上回った場合↓

上記のようにラインをブレイクしたかどうかの判断にもいくつかありますのでこれらを複合的に考えるのがいいと思います。(下降の場合は逆です)
逆に水平ラインでレートがサポートされたかどうかの判断をする際にも以下の様にいくつかのパターンが考えれます。
ラインでサポート(レジスタンス)されたかどうかの判断
ヒゲの先端をヒゲが超えられなかった場合↓

ヒゲの先端に終値が抑えれらた場合↓

終値にヒゲが抑えられた場合↓

終値に終値が抑えられた場合↓

ヒゲ、終値、どちらも抑えられた場合↓

というようにサポートされたかどうかの判断にも上記の様にいくつかパターンがあります。(レジスタンスの場合は逆です)
そしてここで注意してほしいのはブレイクとサポート、どちらともとって見えるパターンがあるということです。
ですから大事なのは自分がどのようにしてブレイクやサポートを判断するかを事前に決めてしまうことです。
特に初心者の内はその辺を曖昧にしてしまうと実際のトレードで迷いが生じてしまいます。
ですから自分がトレードしたい通貨や時間帯における特徴など過去相場を検証して自分なりのルールを決めることが重要になってきます。
水平ラインを使った環境認識
水平ラインの引き方や見方がわかったら今度は水平ラインを使ってどのように相場を分析すればいいのかを解説していきます。
相場をゾーンで考える
僕の場合は水平ラインを境に相場をゾーンで分けてトレードする方向を決めています。
例えば以下の様に①、②、③、④の水平ラインに挟まれた、A,B,Cというゾーンがあったとします。

上記の様に、水平ラインを使って相場を各ゾーンに分けたらそのゾーンの中でトレードを組み立てるようにしています。
そしてそのゾーンを隔てている水平ラインを越えた場合は次のゾーンでトレードを組み立てます。
例えば上記の図で言うと、①の水平ラインを割ってきたらAのゾーン、②の水平ラインを割ってきたらBのゾーン、といった感じです。


上記の様に相場をある一定のゾーンで分けることによって現在の値動きがどこからどこを目指しているのかが視覚的にわかりやすくなり、エントリーポイントや目標値が定まりやすくなります。
水平ラインを引く際の注意点
水平ラインを引く際には注意する点があります。
それはラインをやたらと引きすぎないことです。
チャートが水平ラインだらけになってしまったらどのラインを根拠にトレードしたらいいかわからなくなってしまいます。
ですから自分なりの基準を持って必要な水平ラインだけをチャートに表示させておきましょう。
因みにコツとしてはMT4などのチャートソフトを使ってラインを引く場合、ツールボックスの水平ラインではなくトレンドラインを使って水平ラインを引くといいと思います。
そうすることで水平ラインがどこの高値や安値から引いているラインだかわかりやすいですし必要のないラインは伸ばすのをやめればチャートがスッキリするので見やすくなります。

いつまでも古くなった機能しないラインを表示させてしまっていてはトレードの邪魔になってしまいます。
ですから上記の様に直近の使える水平ラインだけ残してチャートをすっきりさせ、トレードする際はどこのラインを根拠にするか迷いの生じないようにすることが大事です。
まとめ
今回は水平ラインについて解説してみました。
水平ラインは相場分析において最も重要な指標となります。
インジケータをあれこれ表示させてチャートを複雑にしてしまっている方は思い切って水平ラインだけチャートに引いてみてください。
そうすることで値動きをシンプルに捉えることができ、チャート分析に余計な迷いが生じなくなると思います。
因みに水平ラインである程度相場の大局を掴めるようになったら具体的なエントリー根拠にはプライスアクションがおススメです。
トレーダーが意識する水平ライン上で起こったプライスアクションはかなり信頼できるサインになるので併せて参考にしてみてください。
ということで最後までご覧いただきありがとうございました。

遅くなりましたが、とても参考になりました。何度も読み返してみたいと思います。